外観

  笛吹市八代郷土館  

 八代郷土館は、その建物自体に歴史がある。明治18年、山梨市に建てられた武家風様式の建物で、「石和駅まで他人の土地を踏まずに行けた」という八代町一帯の大地主・大森嘉四郎が南八代村(現笛吹市八代町南)に移したもの。嘉四郎の子・慶次郎(1871〜1962)は、明治29年、資本金規模としては県下第3位の「大森銀行」を甲府で開業、同32年にこの屋敷を八代支店とした。
 大森銀行は堅実な経営を続けたが、昭和になり銀行合同政策が強化されると、第十銀行(現山梨中央銀行)の第2位の大株主だったことから同銀行に営業をゆずりわたし、屋敷は再び大森家の居宅となった。
 昭和46年、大森家から寄贈された敷地と建物は、同52年、郷土館に生まれ変わった。入口は二つあり、北側の入口は奥座敷につづく大口客用。和二階(3階)に登ると見て取れる複雑な柱の継ぎ方や、細竹をつるでしばった「すのこ張り」の茅葺き屋根も当時のまま。便所や風呂も見学できる。
 町民による民俗資料収集委員が30年間にわたり集めた3000点のうち、約300点を展示。一階の土間と和室6部屋からなり、まず、第十銀行への引継書や通帳の変遷などを並べた「大森銀行関係資料」が並ぶ。大森銀行にちなみ、「商業関係」の収集物も多く、甲州ます、矢立て、そろばん、神棚から下を見下ろすダルマなどが展示されている。さらに、蓄音機や真空管ラジオなどを集めた「芸能関係」のほか、生活小物、台所用品なども。
 急な階段を登り、二階には養蚕や稲作に用いられた農具や民具、おみこし、教科書や文具などの教育関係の資料などが並ぶ。敷地内の「旧石原家」は江戸中期の民家で、一般的な農家の建物と生活用品を集め、当時の生活をそのまま再現している。

展示風景

入館料 無料  ※事前に連絡必要(笛吹市市文化財課 055-261-3342)
開館時間 火・金曜日午前9時〜午前11時
休館日 月・水・木・土・日曜日
駐車場 10台
交通機関 JR中央線甲府駅から富士見経由奈良原行きバス
八代四つ角下車徒歩5分/中央自動車道一宮御坂ICから15分
住所
山梨県笛吹市八代町南796

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