2010年3月12日付

さあ地域おこしを

環境、医療・福祉踏まえ
小異捨てスクラム組む


 山梨ふるさと文庫が創立30周年を迎えました。代表の岩崎正吾さんをはじめ200冊に及ぶ出版に係(かか)わった方々に敬意を表するとともに、これからもぜひ頑張っていただきたいと心から願っています。
 さて、同文庫の食と文化の情報誌「祭」創刊号巻頭に岩崎さんが「黒駒勝蔵の生涯」を寄稿されていますが、文句なしに面白い傑作です。黒駒の勝蔵について昔から抱いていた疑問、例えば、清水の次郎長は善玉で勝蔵は悪玉というのは本当か、何故(なぜ)二人は執拗(しつよう)に戦ったのか、何故勝蔵は処刑されたのかなどの疑問が氷解しました。幕末の激しい時代をたくましく生き抜いた人達だった気がします。
 彼らに限らず、われわれも生まれた時代にどうしようもなく縛られます。過去に学び将来を考えてはいるのですが、今をどう生き抜くのかは改めて難問です。時代を切り開いていくほどの自信はないものの、人間万事塞翁(さいおう)が馬という境地にもなかなか辿(たど)り着けない僕としては、自分を取り巻く環境に色々と悩みつつ、七転び八起きでいくしかないのかなと嘆息です。それにしても、今の社会は生きづらいと思いませんか。閉塞(へいそく)的な状況が続いているからかもしれませんが、刺々(とげとげ)しい批判や度量の狭い正義がマスコミやインターネットに溢(あふ)れ、益々(ますます)縮こまるしかないような雰囲気です。これでは、元気が出るわけありません。
 その一方で、停滞という長いトンネルを経て、ようやく新しい方向も見え始めています。個人的には、環境、農林業、医療・福祉といった大きな柱がこの国の屋台骨になっていくと思います。そして、それらも踏まえた「地域おこし」のために、再びみんなで立ち上がる時がきています。チャンスをつかみましょう。
 そのためには、偉大な英雄は要りません。老若男女を問わず、ご近所の誰かさんでいいのです。失敗を恐れず「俺がやろう」という人が出てくることが大切です。さらに大切なことは、それに耳を傾け相手を慮(おもんぱか)る「寛容さ」です。じっくり聞けばよさもみえてきますが、先ず否定から入っていたのでは、新しいアイデアや動きは間違いなく育ちません。また、いいアイデアでも唯我独尊では輪が広がりません。周りの人々と話し合いながらいいものに仕上げ、それを支えていくことで人と人の繋(つな)がりが再び生まれ、共存できる楽しい社会が出来上がる気がします。
 仕事柄、全国各地にお邪魔していますが、多くの地域が長引く地盤沈下に苦しんでいます。ただ、そうした中で、九州全体で盛り上がろうとしている福岡、歴史の掘り起こしを軸に活性化を目指す下関、もともと有名なアーケードをシンボルに中心街の再生を目指す高松など頑張っている地域も増えつつあります。そうした地域に共通なのは、関係している方々が小異を捨てスクラムを組んで共存していこうとする姿勢でした。
 山梨にも花を咲かせませんか。繰り返しになりますが、山梨には素晴らしい素材がたくさんあります。また、人材という面でも多士済々です。惜しいのは、その方々がまとまっているようでまとまっていないことです。これまでの枠を超えてスクラムを組み、山梨を盛り立てましょう。
 厳しい冬も終わり、ようやく気候も春めいてきました。桃源郷の世界もいよいよ間近です。山梨の美しさが一層際立つ季節です。
 皆さん一人ひとりの力を合わせて、山梨に春を引っ張ってきませんか。



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