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タイトル「山梨の地名と民話」  「亀石」と水甕(みずがめ)
かめさわ
亀沢
甲斐市
亀沢
余白 余白 船形神社境内にある亀石
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「山梨新報」2017年4月14日掲載

 甲斐市亀沢の地名は、同地域の氏神である船形神社境内に鎮座している大石が由来とされている。この大石の上には小さな石が乗っていて、その形が亀の頭や首に見えるため、地元住民の間で「亀石」と呼ばれ、親しまれている。文化11(1814)年の地誌「甲斐国志」(松平定能編集)の亀沢村の項には「社中ニ亀石ト云フアリ。村名ノ拠ル所ナルベシ」とある。
 その「亀石」がある船形神社は、同神社近くにある大岩「亀沢の船石」にちなんで名付けられた神社という。「船石」は県道101号敷島竜王線沿いの亀沢川の河岸段丘上にあり、1973(昭和48)年、旧敷島町時代に町天然記念物に指定されている。同市教育委員会によると、周囲約55㍍、高さ8・3㍍の花こう岩で、土石流か火砕流で上流部から運ばれてきたものという。
 民話集「ふるさとやまなしの民話」(県連合婦人会編集)には、「船石」と「亀石」の由来や関係が記されている。1200年前、亀沢にある沼池の真ん中に船のような大石があった。池には悪虫がすみ、その水を使う村人に悪い病をもたらすとうわさが起こり、村人は怖がって近づかなかったという。
 ある秋、大石の上で休む1羽のガンを見た村人が、神の降臨と信じて大石をあがめ、お告げに従って沼地を埋めると悪虫に悩まされることもなくなり、村は栄えた。村人たちは社を建て、大石が船の形をしたため、船形神社と付けた。
 また境内にあった亀の形をした石は、沼池に住んでいた大亀の化身だともいわれた―。
 一方、市の出張所でもある睦沢地域ふれあい館の前館長の長田義重さん(82)は、地元住民から亀沢の地名が「亀」ではなく水を入れる「甕」だったという話を聞いたことがあるという。同じ「甲斐国志」の諏訪明神(亀沢村)の項には「社中ニ甕石ト云アリ」「村名ノ起ル所ナリ」とあり、「甕石」は高さ約4㍍、直径約4・5㍍と記している。亀沢は亀沢川の谷間を南北に通る敷島竜王線沿いに集落がある。南端では亀沢川が荒川と合流するなど水とは縁のある地でもある。
 長田さんは「(観光などで)天然記念物の船石ばかりに注目が集まるが、亀石のことも知ってもらえると地元住民としてうれしい」と話した。


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亀沢地図
(Googleマップ)



1-蟹沢池

3-お姫坂

4-蟹追橋

5-笛吹川

6-石動

7-団子新居

8-姥塚

9-印沢

10-金井

11-橋立

12-萩原

13-柄杓流川

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