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タイトル「山梨の地名と民話」 長源寺の“妖怪ガニ”
蟹追橋
蟹追橋
山梨市
蟹追橋
余白 余白 民話によって名付けられたといわれる蟹追橋
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「山梨新報」2017年4月28日掲載

 山梨市大工の兄川に架かる蟹追橋は、長源寺(同市万力)に現れたカニの妖怪を追跡したという民話から名付けられたと考えられている。同寺に伝わる民話では橋ではなく、地元の人々に「蟹追い坂」と呼ばれた坂が登場する。
 400~500年前の長源寺周辺は昼でも暗い森に囲まれ、人通りはまれだった。寺には何人かの住職が住んだが、その日の夜のうちに逃げ出したり、いつの間にか行方不明になったり、怪物に食い殺されて首だけが残っていたこともあったという。
 旅の僧がこの話を聞き、寺に泊まった夜、怪物が現れて「四足八足両眼天に差すときはいかに」(手足8足、両目は天を指すものは何か)となぞを掛けると、僧は「カニだな」と言うやいなや錫杖をたたきつけると、怪物は逃げて行った。
 夜が明けて訪ねて来た村人に僧が夜の出来事を話し、怪物の残した血の跡をたどると谷川の奥にある洞穴からうなり声がした。そこには甲羅が2間四方(約13平方㍍)もあるカニが背中を割られて横たわっていた。まもなくカニは死んだという。僧は「これまでの住職はカニの問答に負け食い殺された」と教えた。それからは怪物が出ることもなく、カニを追った坂は「蟹追い坂」と呼ばれるようになったという。(山梨国語教育研究会編「山梨の伝説」)
 開発が進み現在、地元住民の間でも「蟹追い坂」は定着しなかったという。ただ同寺から直線で1・8㌔北側にあり、この坂があったとされる近くの橋は「蟹追橋」と呼ばれ、「昭和47(1972)年3月」と記された橋名板が設置されている。市建設課の担当者は「古い橋のため、名前の由来は分からない」と話している。
 長源寺には、カニが反撃のためにはさみで投げつけた時の爪跡といわれる二つの穴が開いた大石や、明治18(1885)年作の掛け軸には割られた甲羅から煙が出て、その中から千手観音が現れる様子が描かれている。
 同寺には今でも民話を知って、訪れる人が月に2、3人いるという。前住職の原田文隆さん(86)は「ここはもともと小字が蟹沢。掛け軸は民話に基づき、本尊が千手観音である由緒を物語にしたのでは」と解説する。同寺の山号は蟹沢山。今も近くの沢にはカニが生息しているという。

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蟹追橋地図
(Googleマップ)



1-蟹沢池

2-亀沢

3-お姫坂

5-笛吹川

6-石動

7-団子新居

8-姥塚

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