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タイトル「山梨の地名と民話」 「鬼の杖」と桃太郎伝説
石動
石動
大月市
石動の鬼の杖
余白 余白 岩殿山の方向を指す大月市賑岡町の「石動の鬼の杖」
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「山梨新報」2017年5月12日掲載

 大月市賑岡町強瀬の小字に「石動」という地名がある。鬼が石杖(いしづえ)を地面に突き刺した際、大きな石が動くほど地響きがしたことが由来とされる。市内には百蔵(ももくら)山、猿橋、鳥沢、九鬼山、同市に隣接している犬目(上野原市)など桃太郎にまつわる地名も多く、最近ではこの「大月桃太郎伝説」と絡めて定着している。
 鬼が地面に突き刺したという石杖は市営石動団地近くの空き地に残っており、「鬼の杖」と呼ばれている。地面に斜めに刺さったように見える石は、高さ125cm、幅42cm、厚さ19cmの花こう閃緑(せんりょく)岩(市文化財審議会編「大月市の石造物Ⅱ」)。市郷土資料館によると、「時期は定かではないが埋め立て工事の際、高さ2mあった鬼の杖に重機が当たり、折れてしまった」という。
 この石杖をめぐってはこんな民話が残っている。昔、岩殿山(同市)には赤鬼が住み、両手にはそれぞれ石杖を持っていた。ある日、九鬼山の青鬼が遊びにやってきて、石杖をどちらか高く投げられるか力自慢をしていた。落ちた時の振動は地震のようだったという。
 力自慢の勝負はつかず、今度はどちらがより深く地中に突き刺せるかを比べてみた。赤鬼は左手に持っていた杖を両手で力を込めて地中に突き刺したが、その間に青鬼は右の杖を笹子峠の方へ投げ飛ばした。怒った赤鬼は左の杖を引き抜こうとしたが、あまりに深く刺したため抜くことができず、素手で取っ組み合いをして双方とも死んでしまった。左の杖は「石動」に、投げた右の杖は笹子町のJR中央線の線路わきにあり「立石」と呼ばれているという(内藤恭義編著「郡内の民話」)。
 このほか、「甲州むかし話下巻」(文・あずさとりょう、絵・かげやませんり)では悪さをする赤鬼を侍が退治しようとした時、赤鬼が侍に投げつけた杖が石動に落ちたとする話のほか、同市出身の石井深氏が祖父などから聞いた話をまとめた「大月市の伝説と民話」にも鬼が両手の石杖を天高く投げ、その落ちた響きは雷のようで、大地は地震のように震えたとしている。
 最近では市民グループ「大月の民話を語りつぐ会」(天野ますか代表)が鬼の石杖の民話と「大月桃太郎伝説」を絡め、鬼が桃太郎に石杖を投げつけたエピソードにした人形劇や紙芝居を制作。紙芝居は市内の図書館などで披露している。
 市内の桃太郎伝説を研究している大窪恭子さん(56)は「1999年頃から始まった桃太郎伝説で市を盛り上げようという動きがじわじわと高まってきている」と話している。

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石動地図
(Googleマップ)



1-蟹沢池

2-亀沢

3-お姫坂

4-蟹追橋

5-笛吹川

7-団子新居

8-姥塚

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